日本ヴォーグ社
Calligraphy
-カリグラフィーの世界へようこそ-
カリグラフィーとは
カリグラフィーとはギリシャ語で「美しく描く」という意味があり、アルファベットや絵文字を専用のペンで描くことを言います。
現在ではパソコン・ワープロなどの普及により手書き文化はうすれ、手紙などにのみその名残りをとどめるようになりました。
しかし、人間味あるこの手書き文字が欧米をはじめ日本でも見直されています。手書きの文字(カリグラフィー)に見られる芸術性、個性そして何より心のこもった暖かみが再び脚光を浴びている要因だと思われます。
カリグラフィーは専用のペンで文字を美しく描くだけでなく、その楽しみは様々に広がっています。筆を使用し、かわいい絵模様を描いたり、色々なペンやマーカーなどを使いバリエーションのあるデザインをしたり、また他のハンドクラフトと組み合わせ自分だけの作品づくりを楽しむ人も増えてきています。
カリグラフィーは趣味として、芸術としてあなたの暮らしを華やかに彩ってくれることでしょう。
カリグラフィーの歴史
カリグラフィーについて書物の歴史をひもといてみましょう。ヨーロッパに書物が登場したのは6世紀頃です。西ヨーロッパにはじめて修道院ができ、その修道院で特別な技術をもった修道士によって、書物は長い時間をかけて、一字一字書き写されました。特別な技術をもった人とは、字を書き写す写字生(スクライブ)や、また彩飾画を描く彩飾画家(イルミネイター)のことで、各修道院では彼らが写字室といわれる部屋でこのような作業を一手に行っていました。13世紀初めまでこうして修道院だけで書物は作られたのです。代表的なものには、「リンデイスフアーン福音書」(7世紀)、「ケルズの書」(9世紀)などがあります。どちらも福音書の写本で、「リンデイスフアーン福音書」はアンシヤル体(4〜8世紀にかけて多く使われていた書体)で書かれており、ケルト派の最高傑作「ケルズの書」とともにすぐれた彩飾写本(挿絵や装飾などが施された書物)として今日までその姿を残しています。その後、書物の製作は修道院から工房へと移り、一般向けの書物も出回るようになりました。

書体では、14世紀に入ると、写本に用いられたゴシック体から、新しい書体ローマン体が生まれました。16世紀には印刷技術がヨーロッパ全土に普及したため、写字生の仕事はなくなっていきますが、カロリンジアン体から派生したイクリック体が誕生したり、また18世紀に入って公文書作成などに用いられるカッパープレート体ができるなど書体のバリエーションも増えてきたのです。

そして、エドワード・ジョンストンによって、現代カリグラフィーの一つの礎が作られ、今日に至っているのです。
ペンについて
ペンはかつて、葦(あし)の茎やガチョウの羽軸をナイフで削って作り、使われました。ペン先が減ったときにはナイフで削って整えたり、また消しゴムの代わりにナイフを使って紙(ヴェラム)を削ったりしたのでした。
インクについて
インクは、煤(すす)、やに、水を混ぜ合わせて作られました。このインクは真っ黒ですが、木にできた虫こぶと硫酸鉄に、やにと水を混ぜたものもあり、これは褐色になります。
紙について
ヨーロッパでは、文字を書き写すものは紙ではなく、ヴェラムでした。ヴェラムとは羊や子牛の皮から作られたもので、本のサイズはこれら動物の大きさ次第ということでした。仕上がりもきれいだったので彩飾画家たちは紙よりもヴェラムを使ったのです。 15世紀頃からようやく、紙が大量生産されはじめ、高価なヴェラムから紙へとだんだんと移行していきました。
絵の具について
絵の具は、動物、植物、鉱物など自然の物質から作られました。イギリス最古の「リンデイスフアーン福音書」に見られる青は、ラピスラズリから作られたもののようです。